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≪伝説・言い伝え≫
百石山(ひゃっこくやま)

【 山形県 小国町 】

 昔、山の頂上の大きな木の上に大鷲が巣を作っていました。
この大鷲は時々、山のしたにある村々に舞いおりてきては、家畜や村人におそいかかったりして、危害を加えておりました。

村々でも何度となくこの大鷲について相談をしましたが、誰一人として自分の命をかけてまで大鷲を退治しようという者はおりませんでした。

村人達の苦しみを耳にした殿様は、この大鷲をただちに射ち落すようにという、御触れを出しましたが、大鷲を恐れて従う者はおりませんでした。

殿様は、このままにしておいては大変なことになる、大鷲が二匹、三匹となったら一大事と思い、村を騒がす大鷲を射ち落した者には、知行百石を与えるという御触れを、新たに出しました。

御触れを見たある村の若者は、百石も貰えるならば、命をかけてやってもやりがいがある、と大鷲を射ち落す決心をしました。
若者はどうしたら大鷲を射ち落せるのか一晩中考え、夜のうちから大鷲の巣の下に忍び込み、夜明けに大鷲が巣から飛び立つ瞬間に射ち落そうと考えました。

思惑通り夜のうちに山に入り、大鷲の巣の下で夜の明けるのを待つことになった若者は、まわりの山がうっすらと明るくなり始めたころ、突然バタバタという大きな羽ばたきとともに大鷲が巣から飛び立ったと同時に、今だとばかりに、手にした鉄砲の引き金を引き、見事、大鷲を撃ち落としました。

殿様は約束どおり、勇敢な若者にその褒美として知行百石を与え、いつしか村人たちは大鷲が住んだ山を百石山と呼ぶようになったと云われています。


画像

百石山(ひゃっこくやま)

標高599m、山頂手前の展望は、眼下に横川ダムと岩向山(がんこうやま)、その奥には壮大な飯豊連峰の山々を見渡すことができる。

【住所】小国町伊佐領村

 

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